光と影

 

キレイにライトアップされたものは人の心をひきつける。

イルミネーションだったり、夜景だったり、オシャレなインテリアだったり。

個人的に美しいと感じるのは、ほの暗い中にほんのりと柔らかい光がこぼれている感じ。

建物の中で言うと、ロウソクの火や、暖炉の炎の明かり。

建物の外で言うと、暗い夜道に建物の内側から、障子越しにこぼれる楽しそうな明かり。

 

ただただ明るくした空間は美しくない。

ネオン街や、ただ明るくしただけお店のライトアップや明るすぎる室内。

賑やかな感じはあるかもしれないが、美しくない。

欲しいのは生きた光。

ただ照らすだけでなく、光と影のバランスが大切である。

 

昼は昼らしく健康で明るい暮らしを、夜は夜らしくしっとりと。

そんな日本になるといい。

 

昔は、ほの暗い中にこそ美しさを発揮する日本の美があった。

暗い中で映える漆の輝き。

月明かり。

軒を深くし、居室の前に縁側をもうけて、そこそこの照度で落ち着いた空間を演出。

欄間からこぼれる、隣の部屋の明かり。

障子に映し出させる、外の影。

 

なんでも明るく照らせばいいってもんじゃない!!

影があるから感じる日本の美学がある。

必要なところに必要な明かりを。